【改稿版】身代わりお見合い婚〜溺愛社長と子作りミッション〜
「それよりも、本当にご両親は喜んでくれたのですか?」

「ああ、両親は俺が結婚する気がまったくなかったのを知っていたから、強引にでも引っ張ってくれる気の強い女性なら結婚できるかもしれないと思って有紗さんを勧めたらしい。父は少し複雑そうな表情だったが、母は喜んでいたよ。孫ができて嬉しいって」

 それを聞いて安心した。両親から猛反対を受ける覚悟はできていたので、嬉しい誤算だ。

 やはり子どもの存在は大きかったのかもしれない。両親の性格をわかっているだけに、貴富さんの読みは見事に当たったようだ。

 ただ、おばあ様が予想外に強敵な気がするのが怖い。

 私は庶民だからわからないけれど、由緒正しき家柄というのは背負うものや制約が大きいのかもしれない。お金があるっていいことだけじゃないのだなと思う。

 それから一週間後、ついに藤堂寺家にご挨拶に行く日がやってきた。

 なにを手土産として持っていくか、なにを着ていくか、作法などを有紗に相談しまくり、迎えた当日。
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