【改稿版】身代わりお見合い婚〜溺愛社長と子作りミッション〜
「いらっしゃ~い! よく来てくれたわね。さあ、座って、身体は大丈夫?」

 リビングから駆け寄ってきた美人は、私に抱きつかんばかりの歓迎を笑顔でしてくれた。

 黒色のふんわりウェーブがかった長い髪に、上品なロングスカートを着ている。綺麗な二重で顔がとても小さい。どことなく雰囲気が貴富さんに似ていた。

「初めまして、田中芳美と申します」

 深々とお辞儀すると、彼女は私の肩を軽く叩きながら、

「そんなかしこまらなくたって大丈夫よ! やだ、想像以上に可愛い。貴富って面食いだったのね」

 予想外の反応に戸惑いながら貴富さんを見ると、貴富さんはげんなりした顔でテンション高い美人を見ていた。

「えっと、お姉さん?」

 小さな声で貴富さんに聞く。お姉さんがいた話は聞いていない。

「ごめん、これ、うちの母親」

「ええ~!」

 思わず大きな声が漏れた。

「やだ、お姉さんだなんて、芳美ちゃんはお世辞が上手いわね」

 満更でもなさそうな顔で頬を両手で抑えるお母様。その仕草も若い。

「久しぶりだな、貴富。元気にしていたか」
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