ご令嬢ではありません!~身代わりお見合いだったのに、敏腕CEOが執愛に目覚めたようです~
声がした方向に顔を向けると、執事が車椅子を押してリビングに入ってきた。車椅子には九十歳くらいのやせ細った女性が乗っていた。身体は骨と皮のようだが、顔は眼光鋭く美しかった。しっかり化粧をして身ぎれいにしている。溢れるオーラは威圧感があり、女帝という言葉が似合う威厳がある。
貴富さんが立ち上がったので、私も慌てて立ち上がる。
「すみません、いらっしゃっているとは知らなくて」
貴富さんが謝罪すると、貴富さんのお父様も立ち上がり、執事と交換して車椅子を押した。
「なにを言っているのだよ、母さん。遅れてきたのはそっちだろ」
お父様が車椅子を押してテーブルにつかせると、すかさず使用人が食事を運ぶ。
和やかな食事は一気に緊迫感のあるものに変わった。
(この方が、結婚を反対しているというおばあ様……)
貴富さんの隣にいるというのに、まるで見えていないかのように目が一度も合わない。
貴富さんが立ち上がったので、私も慌てて立ち上がる。
「すみません、いらっしゃっているとは知らなくて」
貴富さんが謝罪すると、貴富さんのお父様も立ち上がり、執事と交換して車椅子を押した。
「なにを言っているのだよ、母さん。遅れてきたのはそっちだろ」
お父様が車椅子を押してテーブルにつかせると、すかさず使用人が食事を運ぶ。
和やかな食事は一気に緊迫感のあるものに変わった。
(この方が、結婚を反対しているというおばあ様……)
貴富さんの隣にいるというのに、まるで見えていないかのように目が一度も合わない。