【改稿版】身代わりお見合い婚〜溺愛社長と子作りミッション〜

　勝ち誇った様子の悠斗君に、おばあ様はなにも言い返すことができないようだった。おばあ様の価値観では、血筋をなによりも重視するのと同じように、利益を生み出せる者が優遇されるらしい。

「ああ、嫌だ。これだから長生きはしたくないよ。薬を持ってきてちょうだい」

　おばあ様の指示に、すぐにコップに入れられた水と薬が渡される。おばあ様の手が小刻みに震えていたのと、飲んでいる薬の種類に目を向けた。

「関節拘縮による中枢神経障害ですね」

　おばあ様の近くに寄り、薬を見て言った。

「そういえば、あんた、製薬会社の従業員らしいね。近頃は関節が痛くて寝ることもままならないよ。この病気が治る薬を開発してくれたら結婚を許してやってもいいがね」

　おばあ様は意地悪い笑みを浮かべながら言った。貴富さんと悠斗君は軽蔑した眼差しでおばあ様を睨んでいる。