【改稿版】身代わりお見合い婚〜溺愛社長と子作りミッション〜
「どうして、学会に出なくなったのですか?」
思わず聞いてしまった。あの感動的で熱意溢れる発表を聞いて、私も同じ道に進みたいと思ったのだ。
貴富さんは一瞬驚いた顔をして、少しだけ悲しそうに目を伏せて話し出した。
「学会に出ていたことを知っているのか。俺の黒歴史だ」
「黒歴史⁉ どうしてですか、あんなに素晴らしかったスピーチだったのに」
「芳美もあの会場にいたの?」
貴富さんは驚いた表情で聞いた。
「はい。私はその時学生で、観覧席にいました」
「そうだったのか。あの時の俺は、まだ若く、未熟で、熱意があれば世の中を動かせると信じていた若造だった。経営が傾いていた製薬会社を買い取り、これから世のため人のためになるものを作り上げていくのだと情熱に溢れていた。だから、学会で発表してくれと頼まれたとき、喜んで引き受けた。でも、一企業の社長である俺が、学会で発表することをこころよく思わない有識者もたくさんいた」
思わず聞いてしまった。あの感動的で熱意溢れる発表を聞いて、私も同じ道に進みたいと思ったのだ。
貴富さんは一瞬驚いた顔をして、少しだけ悲しそうに目を伏せて話し出した。
「学会に出ていたことを知っているのか。俺の黒歴史だ」
「黒歴史⁉ どうしてですか、あんなに素晴らしかったスピーチだったのに」
「芳美もあの会場にいたの?」
貴富さんは驚いた表情で聞いた。
「はい。私はその時学生で、観覧席にいました」
「そうだったのか。あの時の俺は、まだ若く、未熟で、熱意があれば世の中を動かせると信じていた若造だった。経営が傾いていた製薬会社を買い取り、これから世のため人のためになるものを作り上げていくのだと情熱に溢れていた。だから、学会で発表してくれと頼まれたとき、喜んで引き受けた。でも、一企業の社長である俺が、学会で発表することをこころよく思わない有識者もたくさんいた」