【改稿版】身代わりお見合い婚〜溺愛社長と子作りミッション〜
「有紗の結婚式は素敵だったけれど、私が花嫁であの場に立つなんて想像しただけで怖すぎです」

 なるほど、確かにアレはきつい。

「それに、うちの両親や親戚だって、あんな凄い参加者たちの中で親族として結婚式に参加することになったら緊張で話すこともできなくなってしまいます。かわいそうです」

 それはそうだ。

 百歩譲って、芳美は意外と根が豪胆だから上手くやれるとしても、ご両親が気の毒だ。

「では、ささやかでアットホームな結婚式を挙げよう」

「できるのですか?」

「できるだろう」

 たぶん。藤堂寺家としては、つい最近様々な人たちを招いて大がかりな結婚式を行った。間を開けずまた招かれたら招待客だって困るだろう。会社の者たちや友人たち中心の和やかな式を執り行おう。

 そうして結婚式は、広いガーデン付きの海外風ゲストハウスで行われることになった。春の柔らかな日差しの中でガーデン挙式を挙げ、アメリカの広大な一軒家風のゲストハウスで披露宴が行われた。披露宴というよりも、パーティのような気楽なスタイルで、終始和やかでアットホームな会となった。

< 230 / 247 >

この作品をシェア

pagetop