【改稿版】身代わりお見合い婚〜溺愛社長と子作りミッション〜
 芳美は無事に安定期になり、妊婦とは思えない美しさのウェディングドレス姿だった。お腹が目立たないように、ふんわりとしたエンパイアラインのドレスが、まるで妖精のような透明感だ。

 眼福、眼福、と心の中で言いながら、カメラマンに芳美をたくさん撮るようにこっそり指示しておいた。本当は自分で撮りたいが、さすがに我慢する。

 芳美の日常の美しさを撮った写真はすでに数千枚をこえる。ふとした時に見せる抜けた顔が一番好きだ。ちょっと笑ってしまうような表情をカメラマンは捉えることができるのか。カメラマンにいちいち指示している俺を見て、祐樹が呆れたように声を掛けてきた。

「結婚してもストーカーは治らないのか」

 今は披露宴が一通り終わったデザートビュッフェの時間。アメリカの一軒家風のゲストハウスなので、ガーデンプールの脇で食べている者もいれば、色々な所に椅子があるので、めいめいに好きな場所に座り、会話が弾んでいる。


< 231 / 247 >

この作品をシェア

pagetop