ご令嬢ではありません!~身代わりお見合いだったのに、敏腕CEOが執愛に目覚めたようです~
 というのも、毎日のように有紗が家に遊びに来るからである。

「ねえねえ、芳美。新居はマンションがいいかな、それとも戸建て?」

 今日も遊びに来た有紗は、様々な不動産資料をテーブルに並べて言った。

 悠斗君と結婚した有紗は、仕事を辞めて専業主婦となった。これは有紗や悠斗君の意志というよりも東雲家の方針だ。結婚したら家に入って夫を支えるべき、という考えらしい。有紗も仕事に対してそこまで熱意があったわけではないので、不満はないらしいが暇らしい。

「好きな方でいいと思うよ」

 有紗が持ってきた高級な厚紙のマンションチラシを手に取って言った。

(うわ、億越えばっかり)

「どっちも良さがあるのよね。私も悠斗君も実家は戸建てじゃない? だから戸建てに愛着があるし、マンションはやっぱり便利で引っ越しもしやすいし」

 有紗が悩むのも少しわかる。というのも、今は身重で動けないけれど、ゆくゆくは私たちも引っ越したいと思っている。

 子育て環境を考えるなら戸建てがいいかなと思うけれど、通勤面や利便性を考えるとマンションになる。
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