【改稿版】身代わりお見合い婚〜溺愛社長と子作りミッション〜

　かといって何もいわず寝室に戻るのも失礼なので、バスローブ姿のままリビングに向かった。

（ていうか、この格好でどうやって帰ろう）

　明かりのついているリビングのドアを開けると、独身男性の部屋とは思えないほど綺麗で広々としていた。

　壁はクリーム色で、高級感のある木製の家具に、グレーの光沢のあるシルクのカーテンが装飾されている。壁にはオシャレなアートコレクションが飾られ、本や雑誌が整然と並ぶ大きな本棚も置かれている。

　リビングの中央には、上質な革で作られた大きなＬ字型のソファがあり、社長はテレビもつけずにそこで本を読んでいた。ガラス製のサイドテーブルの上には、数冊の本と上質なコーヒーカップが置いてあった。

「お風呂いただきました。ありがとうございます」

　顔だけ少しドアから覗き込み、社長に声をかけた。それだけ挨拶すればすぐに寝室に戻ろうと思っていたのだけれど、顔を上げた社長は、『おいで』というように手招きした。

　おいでと言われたら、行くしかない。胸が飛び跳ねるように拍動しながら社長の側に寄ると、隣に座るように促された。