【改稿版】身代わりお見合い婚〜溺愛社長と子作りミッション〜
「えぇ~」
「これが無事に終わったら、なんでも好きなもの奢ってあげる。だから一生のお願い! 私の代わりにお見合いして!」
顔の前で両手を合わせ、有紗は低姿勢で熱のこもったお願いをしてきた。
プライドの高い彼女がここまでするには理由がある。
最近付き合った売れない漫画家の彼にお見合いが露見したからだ。もちろん有紗はお見合いなんてしたくない。でも彼女は家柄の良い、生粋のお嬢様だ。
世間では二十六歳なんてまだ結婚に焦るような年齢でもないが、有紗の家族はそうはいかない。
東雲といえば、全国にお店を持つ老舗の和菓子店だ。明治期は政府の要職に就く親族もいたらしく、天皇家御用達の銘菓を手掛けている。大学時代からすでにお見合いの話はいくつか来ていた。今までは一応家族の顔を立てて、お見合いに出たりしていたそうだが、今回ばかりは彼氏に知られてしまった。
かといって、もう出席を断ることもできない。そこで、身代わりお見合いが必要になったというわけだ。
彼氏は有紗の家の事情も知っているけれど、どうしても有紗がお見合いに出るのが嫌らしい。まあ、気持ちはなんとなくわかる。わかるけど……。
「これが無事に終わったら、なんでも好きなもの奢ってあげる。だから一生のお願い! 私の代わりにお見合いして!」
顔の前で両手を合わせ、有紗は低姿勢で熱のこもったお願いをしてきた。
プライドの高い彼女がここまでするには理由がある。
最近付き合った売れない漫画家の彼にお見合いが露見したからだ。もちろん有紗はお見合いなんてしたくない。でも彼女は家柄の良い、生粋のお嬢様だ。
世間では二十六歳なんてまだ結婚に焦るような年齢でもないが、有紗の家族はそうはいかない。
東雲といえば、全国にお店を持つ老舗の和菓子店だ。明治期は政府の要職に就く親族もいたらしく、天皇家御用達の銘菓を手掛けている。大学時代からすでにお見合いの話はいくつか来ていた。今までは一応家族の顔を立てて、お見合いに出たりしていたそうだが、今回ばかりは彼氏に知られてしまった。
かといって、もう出席を断ることもできない。そこで、身代わりお見合いが必要になったというわけだ。
彼氏は有紗の家の事情も知っているけれど、どうしても有紗がお見合いに出るのが嫌らしい。まあ、気持ちはなんとなくわかる。わかるけど……。