【改稿版】身代わりお見合い婚〜溺愛社長と子作りミッション〜
「会食の時も思ったけれど、俺たちって好みが似ていますよね」

「はい、そうですね」

　社長の顔が、鼻に触れそうになるほど迫ってきたので、目を逸らしながら答える。

　本当にびっくりするほど好みが合う。会話も楽しくて、何時間でも一緒にいられそうだ。

　読んでいる本も専門分野すぎて、他者と感想を共有することなんてできなかった。有紗以外の人とはあまり打ち解けることができなかったから、これは私にとって特別なことだった。

「もっと、君のことを知りたい」

艶めいた真っ直ぐな瞳で言われて、鼓動が脈打つ。

　距離も、物理的に、近い、うん、近すぎる。ぐいぐいと迫ってくるので、私はだんだんと押し倒されるような体勢になっていく。

「ええと、た、たとえば？」

　私のことはあらかた答えた気がする。もうお見合いの話はなくなったので、有紗が好きなことではなく、普通に私のことを答えた。仕事のことや家族のことはまったく聞かれなかったので、嘘をつく必要がなかった。

「たとえば、体の相性はどうかとか」

　社長は目を細め、囁くような甘い声で言った。
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