ご令嬢ではありません!~身代わりお見合いだったのに、敏腕CEOが執愛に目覚めたようです~
  そう言って、固く閉じた両足の間に社長の足が無理やり入りこみ、明るい照明の下に裸体が露わになった。

「こんな所で、私、恥ずかしすぎて……」

「わかった、場所を移動しよう」

 社長はそう言うと、私をひょいと横抱きにして持ち上げた。

(場所の問題じゃなくて)

 そう思ってはいるものの、言葉に出せない。

社長は軽々と私を運び、寝室のベッドに私を横たわらせた。薄暗い間接照明の明かりだけなので、リビングよりはマシだけれど、そもそもそういう問題じゃない。

 私は有紗の身代わりをしているのだから、こんなことしてはいけない。頭ではわかっているのに、断ることができない。

(そうか、私も求めているのだ)

 自分の気持ちに気がついた時、かつてないほど胸が高鳴り、体の奥が熱くなった。

 ベッドに移動した社長は、抑えきれないといった様子で、乱暴に自分のトップスを脱いだ。

 引き締まった上半身に目を奪われる。

 そのまま再び唇を塞がれて、バスローブも脱がされた。抵抗する間もないまま、快楽に溺れていく。

 いつしか私の口から聞いたこともないような甘く甲高い声が漏れた。

身体は熱く溶かされ、淡い痺れに何度も絶頂に導かれる。

 破瓜の痛みは一瞬で、気がついたら自ら社長を求めていた。

 自分が自分じゃないみたいだ。こんなの知らない、こんな世界、知らない。

身も心も蕩け合う。社長の身体にしがみついて、甘い悦びの声を上げた。


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