ご令嬢ではありません!~身代わりお見合いだったのに、敏腕CEOが執愛に目覚めたようです~
来年、絶対この舞台に立とうと決めた。学会で発表できる卒業論文を書き上げて、社長と同じ舞台に立つ。

その一年後、私は望み通り学会で卒業論文を発表できたけれど、社長の姿は学会にはなかった。

でも、見事第一希望の会社に就職することができた。それが、社長の作った会社だ。

社長は忙しいから、あまり自社に現われないけれど、企業理念が好きなのでなにも問題なかった。この会社で働けているということが嬉しかった。

それなのに、どうしてこんな展開になってしまったのか。

 社長のベッドで、社長に抱きしめられながら寝てしまった私は、起きてから真っ青になった。

 ありとあらゆる失態をしてしまった気がする。それよりも、とにかく早く家に帰らなければ。仕事に遅刻する!

「社長! 私、帰ります!」

 目覚めた私は、隣で気持ち良さそうに寝ている社長を起こした。

 社長はまだ寝ぼけているのか私を抱きしめ直した。

「もう少し、ゆっくりしていけばいいのに」
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