【改稿版】身代わりお見合い婚〜溺愛社長と子作りミッション〜

第四章 不器用男の恋の煩悶

  俺は振られたのだろうか。

 なんの障壁もなく上手くいっていたと思っていた恋が、ある日突然彼女の拒絶で終わった。

 なにがいけなかったのかわからない。なにか気に障るようなことをしてしまったのだろうか。

 盛り上がりは最高潮に達し、さあいよいよこれから、というところで胸をはね除けられて逃げられた。

 怒っていることは明らかで、これ以上踏み込んだら本気で嫌われると思って追いかけられなかった。

 もしかして、追いかけた方が良かったのだろうか。それすらもわからない。

 正直に告白すると、俺は恋愛経験が少ない。押し切られて付き合ったことは何回かあるが、あまり長続きしたことはない。

 たまに彼女の存在を忘れてしまい、激怒されて終わることが多い。

『私のこと好きじゃないの⁉』

 なんて感情的に詰め寄られると、

『そうかもしれない』

 と肯定してしまう。女の子が激情して頬を叩かれたこともある。

 でもそれは、自分が悪いということはわかっている。どうして昔の彼女たちが怒ったのかという理由は鈍感な俺でもさすがにわかる。
< 66 / 247 >

この作品をシェア

pagetop