【改稿版】身代わりお見合い婚〜溺愛社長と子作りミッション〜
 彼女が突然去ってしまったあと、電話をするも着信拒否されているようで繋がらない。

 電話番号からメッセージを送るも、こちらもブロックされているようで返事はない。

失恋がこんなに辛いものだとは思わなかった。

数日間食事は喉を通らないし、仕事に集中できないので効率が悪くなり、帰ってからも終わらない仕事を片付けているので寝不足だ。

あまりにも顔色が悪いので部下から心配されて、企業内診療所に勤務する産業医の受診を勧められた。

そういえば、今日はアイツが来る日だった。

友達が少ない俺の唯一の親友。ちょっと性格に難ありだが、腕は確かだ。

彼女が池に落ちたときも、わざわざ来てもらった。

この状態が続くのは良くない、アイツに診てもらおう。会社にある医務室へと向かった。

待合室と診察室を素通りし、真っ直ぐ向かった先は応急処置室の隣にある医療資料保管室兼相談室。

ドアを開けると、静かで落ち着いた心地良い空間が広がっていた。
< 68 / 247 >

この作品をシェア

pagetop