【改稿版】身代わりお見合い婚〜溺愛社長と子作りミッション〜

「なにをやらかした、お前」

「だから、わからないから困っているわけじゃないか！」

　苛々しながら答えると、祐樹はさらに目を輝かせた。

　こいつは昔からそうだ。大学から一緒だったが、とびきりもてる上に頭もいいが、性格がちょっとだけ悪い。

「貴富は抜群に人気があるが恋愛経験が少ないからな。というか、女心というものを理解していない。百戦錬磨の俺に打ち明けてみろ。彼女が怒った理由を当ててやる」

　自分で百戦錬磨という奴に悩みを相談したくはないが、祐樹はたしかに女たらしだ。昔から次々と取り替えて酷かった。あまり気は乗らないが、祐樹なら打開策を教えてくれるかもしれない。

　雫が間をおいて落ちるように、要点だけ話そうと思ったのに、さすがは心理カウンセリングもできる医者なので質問が巧みで気がついたら全部話してしまっていた。

「なるほど、それは怒るわ」

　一通り話を聞き終わった祐樹は、顎に手を当てて納得した表情を見せた。

「え⁉ どこが悪かった⁉」

　まさか納得されるとは思わなかったので、前のめりになって問う。