【改稿版】身代わりお見合い婚〜溺愛社長と子作りミッション〜
　会った当日にいたしてしまったことは、おそろしく最低な行為だったかもしれない。

　怒られても当然な気がしてきた。

「でも話を聞くに、その子は貴富に好意があると思うぞ。貴富がしっかり想いを伝えれば勘違いは解けるかもしれない」

「本当か⁉」

　天からのお告げを得たみたいに目を輝かせて言った。

「それだけ怒るってことは、お前のことが好きってことだよ。早く誤解を解いてこい」

「ありがとう。初めてお前に感謝するよ」

「いや、この前も忙しいのにわざわざ駆けつけたぞ？ それも感謝しろよ？」

　晴れやかな気持ちで部屋を出た。急にお腹が空いてきた。今ならご飯を何杯でも食べられそうな気がする。

　連絡を拒否されているのなら会いに行けばいい。

　互いの身元はわかっている。うちと東雲家は昔からの付き合いだ。

　有紗さんのご両親に挨拶がてら実家に伺おう。そこでちゃんと誤解を解いて、俺の気もちが真剣だということが伝われば、順調に進捗して結納の日程まで決まるかもしれない。
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