【改稿版】身代わりお見合い婚〜溺愛社長と子作りミッション〜
(有紗さんと、結婚)

 想像しただけで頬が緩む。社食会場へと向かって歩いている中、一人で口角を緩ませているのは周りから不審に思われそうなので、口元を手で隠した。

 久々に訪れた社食会場は、広々とした空間で大きな窓からは明るい日差しが差し込んでいた。

 そもそも会社をいくつも持っているので、ここ数年は製薬会社に訪れるということがあまりなかった。

 製薬会社は俺の趣味が高じて買い取った会社だ。最初は経営不振を立て直すのが大変だったが、順調に業績を伸ばしているので役員たちに経営は一任している。

 様々な会社を持っているが、一番思い入れが強いのはこの会社だ。俺が、最もやりたかった仕事だからだ。

 藤堂寺財閥の御曹司として、経営を主体に見なければいけない立場だが、本当は研究員になりたかった。

 思い入れが強い分、この会社にはだいぶ私財を投げうって投資した。

 この社食会場も新たに増設させたのだ。人々の健康のために頑張る社員が不健康であってはいけないので、無添加無農薬にもこだわっている。
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