【改稿版】身代わりお見合い婚〜溺愛社長と子作りミッション〜
 入り口には食事カウンターがあり、お盆を持って進むと多彩な料理が並んでいる。様々な種類のサラダ、ご飯、主菜、スープやみそ汁にデザートまで揃っている。

 好きなものを取って会計を済まし、食堂を見渡すと昼食時間が過ぎているためか、人がまばらにしかいなかった。

 数人掛けのテーブルや大きな共用テーブルまで、様々なスタイルの席が用意されている。

 大きな共用テーブルに座ると、端の方で座っていた女性社員が、ガタンと音を立てて椅子から落ちそうになっていた。

 彼女は慌てて座り直し、急いでいるのか、凄い勢いで食事を食べ始めた。

 なぜか室内なのにツバ付きの帽子を被っていて眼鏡もしているので顔は見えない。

 スーツ姿ではないので研究員かなにかなのだろう。早く仕事に戻らなければいけない用事があるのか、あっという間に平らげ、逃げるように食堂を去っていく。

 仕事熱心なのはいいが、ゆっくり食事もできないのはかわいそうだ。もっと研究員の待遇も良くしてあげなければ。

 食事を口に運びながら、今後の会社運営について思いを巡らせる。
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