【改稿版】身代わりお見合い婚〜溺愛社長と子作りミッション〜
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善は急げ。その日のうちに東雲家に連絡を取って、挨拶に伺うアポイントメントを取りつけた。

 一張羅のスーツに着替え、高級な手土産を持って有紗さんのご自宅に伺う。

 外はもう暗くなっていた。有紗さんが仕事から帰ってくる時間帯に合わせて訪問する手はずになっている。

 緊張する。有紗さんは俺を許してくれるだろうか。

 いや、たとえ許してくれなくても誠意を伝え続けるのみだ。もう、結婚相手は有紗さん以外考えられない。

 有紗さんのご実家は昔ながらの木造建築が美しい豪邸だった。

 伝統的なデザインの赤い屋根瓦で、大きな欄間が玄関を飾っている。

 わざわざご両親が出迎えてくださり、家を案内してくれた。広大な庭園には、美しい枯山水や石灯篭が配置され、四季折々の自然の美しさを楽しめるようになっている。

 広いリビングに案内され、ソファに座るよう促される。リビングは畳敷きの床ではなく、豪奢な絨毯が敷かれたフローリングだった。天井には木の梁が露出しており、和と洋が見事に調和したセンスの良い内装だ。
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