【改稿版】身代わりお見合い婚〜溺愛社長と子作りミッション〜
(良かった、ご両親は快く歓迎してくれている。あとは有紗さんの気持ち次第)

突然拒絶され出て行ってしまって以来会えていない。

 気もそぞろに待っていると、玄関の方から女性の声がした。

 有紗さんのお母様が小走りで掛けていく。

「有紗、お客様がいらっしゃっているわよ」

「お客様? 誰?」

 二人のやり取りが聞こえてくるが、いつもの有紗さんの声とは少し違った。

 実家では安心して素の声が出ているのだろう。微笑ましいことだ。

「藤堂寺 貴富さんよ」

「藤堂寺?」

 近くまで来ているようなので、立ち上がってお迎えする。深呼吸をして有紗さんを待つ。

「え~、誰だっ……け……」

 リビングに入ってきた女性は、俺を見て固まった。

 髪は栗色で肩にかからないくらいのボブスタイルで、目は大きくて凛とした顔つきをしている。身長は高くスタイルが良く見えるタイトスカートを履いていて、自信が漲っていた。

(有紗さんのお姉さん? 妹? あまり似ていないな)
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