【改稿版】身代わりお見合い婚〜溺愛社長と子作りミッション〜

「だから有紗は私なのよ！ 全部聞いたわよ。あの子が泣きながら謝りに来て、何事かと思ったら、あんた、あの子になんてことしてくれたのよ！」

　情報が多すぎて瞬時には処理しきれない。

　有紗は目の前の彼女？ そして、どうやら彼女があの子と呼ぶ子に俺が会っていた子で、その子が泣いていたので、彼女が怒っていると。よくわからないが、とりあえずとてもややこしい展開だということはわかった。

「君が有紗なのか？」

「そうよ」

　腕を組みながら一切悪びれもせずに彼女は言い放った。

「じゃあ、俺が会った子は誰だ？」

「それは……」

　彼女は逡巡したのち、吹っ切れたように俺につっかかってきた。

「教えないわよ！ あんた、自分がなにをしたのかわかっているの？」

　なるほど、彼女が怒っているのは、俺が有紗さん……じゃなかった、あの子と関係を持ったことに怒っているらしい。

「たしかに俺は早まったことをしてしまったかもしれない。それで、彼女を傷つけてしまったのかもしれない。でも、俺は本気だった！」