【改稿版】身代わりお見合い婚〜溺愛社長と子作りミッション〜

第六章 名前も知らない愛しい人

「は⁉ お見合い相手じゃなかった⁉」

 医療相談室で、俺の話を聞いていた祐樹は驚いて声を上げた。

 俺は椅子に座って両手を組みながら、深刻そうな顔で頷いた。

「じゃあ誰だよ」

「それがわからない。教えてもらえなかった」

「はあ?」

 祐樹の反応はもっともなものだと思う。

 正直、俺もなんの因果かと当惑している。

「その子は、とても傷ついているみたいで、本当の有紗さんに怒られた」

 項垂れながら、その時のことを話す。祐樹に恋愛相談するなんて、本来ならしたくないのだが、もうどうしたらいいのかわからなかった。

 祐樹は顎に手を当てて、しばらく考え込んでいたが、意を決したように口を開いた。

「なあ、怖いこと言っていい?」

「なんだよ」

 祐樹がわざわざ伺いを立てることの方が怖い。

 祐樹は俺を横目で見ながら、気まずそうに言った。

「その子、未成年じゃないよな?」

 想像もしていなかった指摘に、頭が一瞬思考停止する。
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