【改稿版】身代わりお見合い婚〜溺愛社長と子作りミッション〜
(最悪だ)

 来る時よりもさらに最悪な心境で相談室を出た。

(未成年? まさかそんな)

 でも、本物の有紗さんは、俺が好きになった子よりも大人っぽい印象だった。

 もしも有紗さんは、その子が未成年だということを知っていたのなら、あれだけ怒るのも納得いくし、その子の素性を隠すことも理解できる。

(あの子が、未成年?)

 知らなかったとしても俺の責任は重大だ。お酒を飲ませてしまったし、関係を持ってしまった。社会的に抹殺される可能性のある疑いだ。

『世の中には、知らない方がいいことってあると思うぞ』

 祐樹の言葉が頭の中で反芻される。

 もしも、あの子が未成年だったとしても。それを知ってしまったら社会的責任を負わなければいけなくなったとしても。

 それでも俺はあの子に会いたい。ちゃんと責任を取りたい。

 そんな生半可な気持ちで彼女を抱いたわけではない。

 こんなことになるとは想像もしていなかったけれど、だからといってこんなことで彼女を諦められるほど軽い気持ちではない。

 名前も知らない、年齢も素性もなにもかもわからない彼女を愛している。

 絶対に見つけ出す。それがどんな結果を伴うとしても。
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