【改稿版】身代わりお見合い婚〜溺愛社長と子作りミッション〜


 それからしばらくは、彼女を見つけ出す方法をずっと考えていたが、これといった良策を考えつくことができないまま数日が経過した。

(仕事も、ちゃんとやらなくては)

 食堂で見た女子社員のことを思い出す。あんなに急いで食べて、ろくに休憩も取れていないのだろう。

 経営状態は安定し上昇しているので安心していたが、現場の負担や犠牲によって成り立っているならば、看過できない状況だ。

(よし、現場を見にいこう)

 久しぶりに研究施設の視察に赴くことにした。

 上層部も一緒に回ると言われたが断った。上が視察に来るとただでさえ現場は萎縮する。大勢が押し寄せては仕事の邪魔になると思った。

 クリーンウェアに着替えてクリーンルームの中に入る。

 この独特の静かな空間が好きだ。従業員たちは俺に気がつくと立って挨拶してきたので、気にせず仕事を続けるように言った。

 主任は俺の隣につき、いつでも質問に答えられるようにしている。
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