【改稿版】身代わりお見合い婚〜溺愛社長と子作りミッション〜
 不衛生なところはないか細かいところを点検していきながら、研究機器にも目を配る。

 おそらく少数派だと思うが、研究機器を見ると昔から胸が高鳴る。これを使ってどんな研究ができるだろうと考えるのが好きだ。誰も思いつかないようなやり方を考えたい。この機器を作ったメーカーですら、『そのアイディアは思い浮かびませんでした』と言われるようなそんな研究をしてみたい。

「これは?」

 見慣れない機器があったので主任に質問する。

「これは最近入ってきた機器です」

「どうやって使う?」

「ええと、いつも使っている社員が、今はいなくて。おい、誰かこれの使い方わかる奴いるか?」

 主任が他の従業員に聞くも、皆黙って首を振った。

「すみません、まだいると思うのでちょっと待っていてください」

 そう言って主任はクリーンルームを出て行った。

 従業員たちは黙々と仕事を続けている。マイペースだが、そういうところが好感が持てる。

 もしも俺が財閥の御曹司じゃなければ、こんな風に仕事をしていたのだろうか。
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