難攻不落の女
「今話題になっている、ニューヨーク発祥のブラウニーなんだってさ。あげるよ」
「え、いいんですか。というか、なんでですか?」
「賞味期限が迫ってるから。これ箱でもらったんだけど、一日に何個も食べるようなもんじゃないんだわ。異常に甘いから、毎日食べると嫌いになりそうだしさ」
スイーツ好きの多い人事部内で配るには数が足りず、一人でコーヒーと一緒にじわじわと食べていたが、飽きてしまった。
「俺めっちゃ好きです、甘いもの」
「それならよかった。最近は男の子でも甘いの好きだって公言できるからいいね。私の世代だと、男はそういうのは隠すもんだったからね」
「え、そうなんですか」
「そうだよ。今の若い子は素直で良いなと思うよ。少し前は男も女も、見栄の張り合いが酷かったからね。じゃ、これね」
書類の挟まったボードを戻したが、笹目はまだ帰ろうとしない。ややあってぼそりと呟いた。
「宇美さんって凄いですよね」
「ん? 何が」
「人事部って会社の花形部署だって、先輩が言ってました。若いのに大事なポジションを任せられてるって」
それが、若くもないんだな。内心思いながら、宇美は頭を掻いた。
「え、いいんですか。というか、なんでですか?」
「賞味期限が迫ってるから。これ箱でもらったんだけど、一日に何個も食べるようなもんじゃないんだわ。異常に甘いから、毎日食べると嫌いになりそうだしさ」
スイーツ好きの多い人事部内で配るには数が足りず、一人でコーヒーと一緒にじわじわと食べていたが、飽きてしまった。
「俺めっちゃ好きです、甘いもの」
「それならよかった。最近は男の子でも甘いの好きだって公言できるからいいね。私の世代だと、男はそういうのは隠すもんだったからね」
「え、そうなんですか」
「そうだよ。今の若い子は素直で良いなと思うよ。少し前は男も女も、見栄の張り合いが酷かったからね。じゃ、これね」
書類の挟まったボードを戻したが、笹目はまだ帰ろうとしない。ややあってぼそりと呟いた。
「宇美さんって凄いですよね」
「ん? 何が」
「人事部って会社の花形部署だって、先輩が言ってました。若いのに大事なポジションを任せられてるって」
それが、若くもないんだな。内心思いながら、宇美は頭を掻いた。