足湯と君は居場所【BLピュア】

プロローグ

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 高校を受験した帰り道、君を見かけた。

 受験に手応えがあったから気分がよく、めずらしく辺りの香りを感じる。透き通った雪の香りを感じながら歩いていると、陽に照らされながらキラキラと舞う雪の中に、君はいた。大きな木の前で、小さな小さな白い子犬を抱きしめながら空を仰いでいた。

 目を潤ませて――。

 周りの受験生たちは子犬と君をチラ見するだけで、風のように歩いていた。君と俺だけが立ち止まっていた。

 俺の中で、君だけが特別にみえたんだ。だけどそれは現実ではない、夢のような感覚だった。まぼろしか?


 その時すでに惚れていたのかもしれない。別世界にいるような君に――。


***

 世の中には、色彩のバースというものがあるらしい。運命の相手と手を繋ぎ、その手を太陽の光に照らす。するとふたりの手の周りに、普段現れない輝きが現れるのだとか。

 ありえないけど、あんな感じの子が相手だったらいいなと、ふと思う。

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