足湯と君は居場所【BLピュア】
 咲良は再びお菓子を選びに行き、選び終わるとレジ前に戻ってきた。

「蒼にい、お菓子決まったよ」

 スナック菓子やグミ、小さいドーナツ……ピンクの小さなカゴの中が満杯になるくらいの量。

 優香ちゃんにカゴを渡す咲良。
 彼女はレジを打ち始める。

 若干下を向いて作業をする時に揺れるまつ毛が長くて、ずっと見とれていた。見とれているうちに優香ちゃんはレジを打ち終わり、小さな袋にお菓子をまとめた。

 もう少しだけここにいたい。
 もう少しだけ彼女と交流をしたい。

 だから普段絶対にしない、慣れていない質問という行為をした。

「優香ちゃんは、普段何してるの? 何が好きなの?」
「ふ、普段? えっと……」

 彼女の動きがぎこちなくなった。いきなりこんな質問して距離感間違えたか? いや、ただ質問に答えることに慣れていないのかもしれない。

「そちらは?」

 まさかの答えてくれずの逆質問。

「俺? 俺は足湯で本を読むのが好きだな」
「足湯って『ひょう花』?」
「そう」
「そうなんだ……」

 話が止まった。

 彼女はふわっと俺を見て急に微笑んだ。
 その笑顔を見て溢れんばかりにドキッとした。
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