君の世界に触れさせて
「古賀さん、全然クールじゃないんだね」


 嘲笑う感じではなく、ただの感想みたいなもの。


 どうしてそんなことを言われたのかわからなかった。


「いいよ、古賀さんが出て。私より活躍してくれそうだもん」
「ありがとう。失敗したら、ごめん」


 柊木さんは首を傾げる。


「失敗って?」
「シュートとか、パスミスとか……」


 聞かれたから答えてみるけど、意外と出てこない。


 私はこの程度のことを怖がっていたのか。


「シュート失敗したくらいで、責めないから」


 近くで聞いていた浅見さんこそ、クールに言った。


「そんなので責めてたら、自分の足につまずいてこけた詩織はどうなるの」


 浅見さんが言うと、柊木さんは顔を赤くする。


「由紀ちゃん、やめてよ、そんなはっきり言わないで。恥ずかしいんだから」


 私は柊木さんがケガをした瞬間を見ていなかったから、その原因を知って、驚かずにはいられなかった。


「いや、少しね、少しだけ、運動が苦手なだけなんだよ。だから、本当に古賀さんに出てもらえると、嬉しいなって、ちょっとだけ思ってたりする……」


 照れて笑う柊木さんは、とても可愛らしい。


 そして柊木さんは、私の前に立つ。
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