君の世界に触れさせて
個人的にはかっこいい見せ場は少なかった気がするけど、夏川先輩に言われると、照れくささが勝った。
「夏川栄治、写真撮って」
咲楽は人前だというのに、夏川先輩のことを呼び捨てにした挙句、若干命令口調で言った。
優しい夏川先輩は気にせず、私たちにカメラを向けてくれる。
全員の集合写真や、咲楽とのツーショットといった、たくさんの写真を撮ってくれた。
私と咲楽以外とは初対面なはずなのに、夏川先輩はあっという間に打ち解けて、みんなの笑顔を写真に収めていた。
とんでもない、人たらしだ。
でも、夏川先輩がこうして緊張を解してくれるから、あんなにも素敵な写真になるのだと思うと、さすがだと思った。
「楽しかった?」
一通り写真を撮って、夏川先輩は私に聞いた。
「はい、すっごく楽しかったです」
自分でもわかるくらい、全力の笑顔を見せた。
「そっか、よかった」
対して、夏川先輩が優しく微笑んだことで、私の顔は熱くなる。
これが、運動後だったり、体育館の熱気のせいではないことくらい、わかる。
「じゃあ、次があるから、僕はもう行くね」
夏川先輩はそれに気付いていないのか、笑顔で去っていく。
「依澄、どうした?」
夏川先輩の背中を見送っていると、咲楽は不思議そうに聞いてきた。
「咲楽……私、夏川先輩が好きだ」
思ったことをただ正直に告白すると、咲楽は複雑そうな顔をしていて、私は照れるより先に、笑ってしまった。
「夏川栄治、写真撮って」
咲楽は人前だというのに、夏川先輩のことを呼び捨てにした挙句、若干命令口調で言った。
優しい夏川先輩は気にせず、私たちにカメラを向けてくれる。
全員の集合写真や、咲楽とのツーショットといった、たくさんの写真を撮ってくれた。
私と咲楽以外とは初対面なはずなのに、夏川先輩はあっという間に打ち解けて、みんなの笑顔を写真に収めていた。
とんでもない、人たらしだ。
でも、夏川先輩がこうして緊張を解してくれるから、あんなにも素敵な写真になるのだと思うと、さすがだと思った。
「楽しかった?」
一通り写真を撮って、夏川先輩は私に聞いた。
「はい、すっごく楽しかったです」
自分でもわかるくらい、全力の笑顔を見せた。
「そっか、よかった」
対して、夏川先輩が優しく微笑んだことで、私の顔は熱くなる。
これが、運動後だったり、体育館の熱気のせいではないことくらい、わかる。
「じゃあ、次があるから、僕はもう行くね」
夏川先輩はそれに気付いていないのか、笑顔で去っていく。
「依澄、どうした?」
夏川先輩の背中を見送っていると、咲楽は不思議そうに聞いてきた。
「咲楽……私、夏川先輩が好きだ」
思ったことをただ正直に告白すると、咲楽は複雑そうな顔をしていて、私は照れるより先に、笑ってしまった。