君の世界に触れさせて
第3話
1
◆
「夏川君が来るようになったのに、古賀さん、来ませんね」
部活に参加するようになってから数日が経ち、部室でカメラの準備をしていると、矢崎先生がふと思い出したように言った。
それは僕も気にしていたことだから、あまり触れてほしくなかった。
写真部どころか、古賀が放課後に僕のところに来る機会すら、減っていたから。
「夏川に興味がなくなったんじゃない?」
香田部長は、容赦なかった。
古賀は自分の言葉にトゲがあって、他人を傷つけてしまうと悩んでいたみたいだけど、僕からしてみれば、氷野や香田部長のほうが、トゲがあると思う。
香田先輩は純粋に言っているから、余計にタチが悪い。
「古賀ちゃんが栄治の写真に興味なくなるとか、絶対ありえないですよ」
確証もないのに、佐伯は言い切った。
「そうなの?」
「あんなにもまっすぐに、好きだって伝えて来た人が、そう簡単に心変わりはしないと思うんで」
佐伯が反論して、僕は古賀の話を思い出した。
古賀にとって、僕の写真はそう簡単に、どうでもよくなるものではないだろう。
ただ、古賀が僕に興味あるかどうかは、きっと別の話だ。
僕の過去を聞いて、嫌気がさした可能性だってある。
思っていることをはっきり言えない姿がかっこ悪いとか。現実と向き合えないような臆病者だとか。
「夏川君が来るようになったのに、古賀さん、来ませんね」
部活に参加するようになってから数日が経ち、部室でカメラの準備をしていると、矢崎先生がふと思い出したように言った。
それは僕も気にしていたことだから、あまり触れてほしくなかった。
写真部どころか、古賀が放課後に僕のところに来る機会すら、減っていたから。
「夏川に興味がなくなったんじゃない?」
香田部長は、容赦なかった。
古賀は自分の言葉にトゲがあって、他人を傷つけてしまうと悩んでいたみたいだけど、僕からしてみれば、氷野や香田部長のほうが、トゲがあると思う。
香田先輩は純粋に言っているから、余計にタチが悪い。
「古賀ちゃんが栄治の写真に興味なくなるとか、絶対ありえないですよ」
確証もないのに、佐伯は言い切った。
「そうなの?」
「あんなにもまっすぐに、好きだって伝えて来た人が、そう簡単に心変わりはしないと思うんで」
佐伯が反論して、僕は古賀の話を思い出した。
古賀にとって、僕の写真はそう簡単に、どうでもよくなるものではないだろう。
ただ、古賀が僕に興味あるかどうかは、きっと別の話だ。
僕の過去を聞いて、嫌気がさした可能性だってある。
思っていることをはっきり言えない姿がかっこ悪いとか。現実と向き合えないような臆病者だとか。