君の世界に触れさせて
一瞬、氷野のような髪型をしているから、勘違いをしてしまいそうだったけど、間違いなく知らない子だ。
その子は小さく口角を上げ、僕の元に駆け寄ってくる。
そして、両手で僕の右手を握った。
「夏川栄治センパイ。夢莉の専属カメラマンになってくれませんか?」
僕を見上げる彼女の瞳は、輝いている。
古賀が初対面で僕に向けてくれたみたいな、希望に満ちた眼。
こんなときでも、僕は古賀のことを思い出すのか。
頭をリセットしたはずなのに、軽く思い出したせいで、古賀への気持ちでまた頭がいっぱいになる。
でも、目の前の彼女からの視線で、現実逃避をする程ではなかった。
不思議と、彼女の距離感はニガテだと感じてしまい、僕はそっと彼女の手から逃げる。
「君は?」
「藍田夢莉です。一年です」
藍田さんの距離感は、近いままだ。
仕方なく、僕は一歩、後ろに下がる。
「カメラマンだっけ。どうして僕に?」
「夏川センパイの写真が、一番盛れてたからです」
藍田さんは喋りながら、スマホを操作する。
そして、僕に画面を向けてきた。
僕には興味のない、だけど周りの女子たちが楽しそうに話しているキラキラとした写真が、たくさん映っている。
その子は小さく口角を上げ、僕の元に駆け寄ってくる。
そして、両手で僕の右手を握った。
「夏川栄治センパイ。夢莉の専属カメラマンになってくれませんか?」
僕を見上げる彼女の瞳は、輝いている。
古賀が初対面で僕に向けてくれたみたいな、希望に満ちた眼。
こんなときでも、僕は古賀のことを思い出すのか。
頭をリセットしたはずなのに、軽く思い出したせいで、古賀への気持ちでまた頭がいっぱいになる。
でも、目の前の彼女からの視線で、現実逃避をする程ではなかった。
不思議と、彼女の距離感はニガテだと感じてしまい、僕はそっと彼女の手から逃げる。
「君は?」
「藍田夢莉です。一年です」
藍田さんの距離感は、近いままだ。
仕方なく、僕は一歩、後ろに下がる。
「カメラマンだっけ。どうして僕に?」
「夏川センパイの写真が、一番盛れてたからです」
藍田さんは喋りながら、スマホを操作する。
そして、僕に画面を向けてきた。
僕には興味のない、だけど周りの女子たちが楽しそうに話しているキラキラとした写真が、たくさん映っている。