君の世界に触れさせて
3
◆
「お疲れか?」
午前中の授業が終わり、弁当を机の上に出しながらため息をつくと、佐伯が同情する顔で言った。
きっと藍田さんのことだろう。
この前、氷野がはっきりと言ったことで諦めてくれたと思っていた。
でも、そんなことはなくて、藍田さんは僕を見かけるたびに声をかけてくるようになっていた。
「あの子、第二の古賀ちゃんって感じだな」
「……違うよ。全然、違う」
しつこさで言ったら、同じかもしれない。
でも、僕にとっては、全然違った。
僕の世界を認めて、僕よりも大切にしてくれた古賀と、ただ自分を撮ってほしいだけの藍田さん。
同じなわけがない。
「どうしたら諦めてくれるんだろう……」
何度も断っているのに。
僕の断り方が悪いのだろうか。
これがもうしばらく続くのだと思うと、気が重くなる。
ため息をつかずにはいられない。
「夏川栄治」
弁当箱の蓋を開けたタイミングで、廊下から名前を呼ばれた。
顔を上げると、氷野が、不機嫌なオーラを纏って立っている。
どうして氷野がここにいるのかわからず戸惑っていると、氷野は手招きをして、僕を呼んだ。
「もう、氷野ちゃんが栄治の後輩に見えなくなってきた」
「僕も」
苦笑しながら立ち上がり、氷野の元に行く。
「お疲れか?」
午前中の授業が終わり、弁当を机の上に出しながらため息をつくと、佐伯が同情する顔で言った。
きっと藍田さんのことだろう。
この前、氷野がはっきりと言ったことで諦めてくれたと思っていた。
でも、そんなことはなくて、藍田さんは僕を見かけるたびに声をかけてくるようになっていた。
「あの子、第二の古賀ちゃんって感じだな」
「……違うよ。全然、違う」
しつこさで言ったら、同じかもしれない。
でも、僕にとっては、全然違った。
僕の世界を認めて、僕よりも大切にしてくれた古賀と、ただ自分を撮ってほしいだけの藍田さん。
同じなわけがない。
「どうしたら諦めてくれるんだろう……」
何度も断っているのに。
僕の断り方が悪いのだろうか。
これがもうしばらく続くのだと思うと、気が重くなる。
ため息をつかずにはいられない。
「夏川栄治」
弁当箱の蓋を開けたタイミングで、廊下から名前を呼ばれた。
顔を上げると、氷野が、不機嫌なオーラを纏って立っている。
どうして氷野がここにいるのかわからず戸惑っていると、氷野は手招きをして、僕を呼んだ。
「もう、氷野ちゃんが栄治の後輩に見えなくなってきた」
「僕も」
苦笑しながら立ち上がり、氷野の元に行く。