君の世界に触れさせて
古賀が素直にたくさん伝えてくれたから、僕は前を向けた。
そんな古賀のために、まだ僕にできることがあるなら、全部やりたい。
全部やって、古賀に笑ってほしい。
「……明日までには終わらせるから、待ってて」
それから僕は、外での用事を終えて家まで走った。
◇
家の鍵は開いていた。
「ただいま」
靴を揃えることもせず、家に上がる。
「栄治?」
母さんが驚いた様子で顔を覗かせた。
キッチンから甘い香りがするということは、今日もお菓子作りをしていたのだろう。
「学校はどうしたの?」
「ちょっと、やりたいことがあって早退した」
数回瞬きをして、母さんは怒ることなく微笑んだ。
「そっか」
その反応に僕のほうが驚いてしまった。
母さんはそのままキッチンに戻り、僕は部屋に向かう。
少し前に服を定位置に片付けたことで、床が見えるようになった。
僕の宝物たちは、棚に並んでいる。
居心地のいい、僕の部屋。
机の上にカバンを置き、買ってきたものたちを出していく。
「……よし」
そして僕は、黙々と作業を始めた。
そんな古賀のために、まだ僕にできることがあるなら、全部やりたい。
全部やって、古賀に笑ってほしい。
「……明日までには終わらせるから、待ってて」
それから僕は、外での用事を終えて家まで走った。
◇
家の鍵は開いていた。
「ただいま」
靴を揃えることもせず、家に上がる。
「栄治?」
母さんが驚いた様子で顔を覗かせた。
キッチンから甘い香りがするということは、今日もお菓子作りをしていたのだろう。
「学校はどうしたの?」
「ちょっと、やりたいことがあって早退した」
数回瞬きをして、母さんは怒ることなく微笑んだ。
「そっか」
その反応に僕のほうが驚いてしまった。
母さんはそのままキッチンに戻り、僕は部屋に向かう。
少し前に服を定位置に片付けたことで、床が見えるようになった。
僕の宝物たちは、棚に並んでいる。
居心地のいい、僕の部屋。
机の上にカバンを置き、買ってきたものたちを出していく。
「……よし」
そして僕は、黙々と作業を始めた。