君の世界に触れさせて



『撮影会は海に決定。それと、別日にボウリング行こう』


 ゴールデンウィーク数日前の夜、佐伯先輩が作った四人のグループトークルームに、佐伯先輩がメッセージを送ってきた。


 海で撮影会というのはわかるけど、ボウリングはいつ決まったんだろう。


『べんきょー会も追加で』


 それを聞くより先に、咲楽が送ってきた。


 咲楽らしくない発言だと思ったけど、今日の昼間に出された数学の課題を思い出した。


『勉強会?』
『数学の課題、1人だとできないです、確実に』
『私も少し、英語教えてほしいです』


 私はそこまで数学は苦手ではないけど、英語がわからなくなりつつあった。


 ここぞとばかりに、私はそんなメッセージを送る。


『栄治、出番だ』
『僕より佐伯のほうが数学、得意でしょ』


 私のスマホに、夏川先輩からのメッセージが届いた。


 佐伯先輩に向けてのものだとわかっているけど、夏川先輩からこれほど砕けたメッセージが届くのは、不思議な感じがする。


『じゃあ、栄治は英語担当だな』
『僕、教えるの得意じゃないから』
『可愛い後輩のためじゃん、頑張れよ』


 佐伯先輩と夏川先輩の、慣れたやり取りが流れていく。


 きっと咲楽も、この会話に混ざることができないのだろう。


 しばらく、二人だけのメッセージが飛び交う。
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