君の世界に触れさせて
『よし、撮影会のときに他の日のこと決めよ。今日はおやすみ』


 佐伯先輩のそのメッセージにより、私たちの会話は終了した。


 おやすみのメッセージを送ると、私はトークルームを閉じる前に、会話を遡る。


 ちゃんと、約束のメッセージがある。


 こんなにもわくわくする連休は久しぶりだ。


『古賀ちゃん』


 すると、グループではない、個人宛に佐伯先輩からメッセージが送られてきた。


『栄治、5月13日が誕生日だよ』


 佐伯先輩の意図が見えなくて、私は『そうなんですね』とだけ返した。


 もしかして佐伯先輩は、私が夏川先輩に対して、恋愛感情を抱いていると勘違いしているのかもしれない。


 まあ、無理もない。


『私、夏川先輩に会いたいんです』


 写真部に行ったとき、つまりは佐伯先輩との初対面でこう言ったら、誰だってそう思うだろう。


「そういうのじゃなくて、純粋に夏川先輩のこと知りたいだけなんだけどなあ……」


 きっとこの感覚を伝えたところで、からかわれるに決まっている。


 佐伯先輩にはっきりと言われるまでは、曖昧なままにしておこう。


 そんなことを思いながら、私は部屋の明かりを消し、眠りについた。
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