君の世界に触れさせて
この場合のしない否定は、肯定と同意だった。
一気にその噂は広まり、僕の周りから人も笑顔も減っていった。
僕のそばに残ってくれたのは、佐伯だけ。
僕が作り上げてきた人間関係が、こんなにも脆かったのかとショックを受けたのは、今でも覚えている。
「栄治、無理してるとかなら、はっきりと言ってほしい」
当時の苦しさを思い出していると、ハル兄がそう言った。
あれだけ言葉に迷っていたのが嘘みたいに、ストレートに言ってきた。
「してないよ」
今度こそハル兄に信じてもらえるように、少しだけ強気で言う。
ハル兄は僕がそんなふうに言うとは思っていなかったようで、数回、瞬きをする。
その反応を見て、つい笑いながら、去年の文化祭が終わってからのことを思い返す。
今でも、あの噂の出処はわからない。
ただ、聞けば、きっかけは花奈さんの写真ということだった。
『あんな花奈さんの表情を撮ったのは、好きだからに違いない』
いつ思い返しても、くだらない。
でも、そういった話題を好む人たちからしてみれば、そんなことはなくて、僕はあっという間に好奇心の的となってしまった。
『違うよ』
初めは否定していたけど、信じてくれた人は少なくて、何度も噂の真偽を問われた。
一気にその噂は広まり、僕の周りから人も笑顔も減っていった。
僕のそばに残ってくれたのは、佐伯だけ。
僕が作り上げてきた人間関係が、こんなにも脆かったのかとショックを受けたのは、今でも覚えている。
「栄治、無理してるとかなら、はっきりと言ってほしい」
当時の苦しさを思い出していると、ハル兄がそう言った。
あれだけ言葉に迷っていたのが嘘みたいに、ストレートに言ってきた。
「してないよ」
今度こそハル兄に信じてもらえるように、少しだけ強気で言う。
ハル兄は僕がそんなふうに言うとは思っていなかったようで、数回、瞬きをする。
その反応を見て、つい笑いながら、去年の文化祭が終わってからのことを思い返す。
今でも、あの噂の出処はわからない。
ただ、聞けば、きっかけは花奈さんの写真ということだった。
『あんな花奈さんの表情を撮ったのは、好きだからに違いない』
いつ思い返しても、くだらない。
でも、そういった話題を好む人たちからしてみれば、そんなことはなくて、僕はあっという間に好奇心の的となってしまった。
『違うよ』
初めは否定していたけど、信じてくれた人は少なくて、何度も噂の真偽を問われた。