君の世界に触れさせて
どうせ部室で活動しないだろうという理由で小さな部屋が与えられた写真部の部室だけど、ここにはたくさんの思い出が詰まっている。
先輩たちが撮ってきた写真のアルバムや、コンクール雑誌が並ぶ本棚。
向かいの壁には、棚にカメラ道具が丁寧に並ぶ。
その横の壁に、毎年撮影する写真部の記念写真がコラージュのように貼られている。
数ヶ月ぶりに訪れたけど、ここはなにも変わっていなくて、安心する。
ほかの部員は写真を撮りに行っているのか、部室には矢崎先生しかいなかった。
「お久しぶりです、矢崎先生」
部屋の奥でノートパソコンで作業をする先生に声をかけると、先生は顔を上げた。
僕がいることに気付いて驚き、穏やかに微笑んだ。
「久しぶりですね、夏川君」
相変わらず暖かい声だ。
『夏川君がまた写真を撮りたいと思うまで、お休みしましょう。いつでも、戻ってきてもいいですからね』
去年、写真部に所属しながら写真が撮れなくなったとき、矢崎先生がそんなふうに言ってくれた。
今と変わらない、優しい声と表情で。
「顔を出すのが、遅くなってすみません」
先生の言葉を忘れたわけではない。
それでも、カメラを再び持つようになっておきながら、部室に来なかったことに対して、罪悪感のようなものがあった。
先輩たちが撮ってきた写真のアルバムや、コンクール雑誌が並ぶ本棚。
向かいの壁には、棚にカメラ道具が丁寧に並ぶ。
その横の壁に、毎年撮影する写真部の記念写真がコラージュのように貼られている。
数ヶ月ぶりに訪れたけど、ここはなにも変わっていなくて、安心する。
ほかの部員は写真を撮りに行っているのか、部室には矢崎先生しかいなかった。
「お久しぶりです、矢崎先生」
部屋の奥でノートパソコンで作業をする先生に声をかけると、先生は顔を上げた。
僕がいることに気付いて驚き、穏やかに微笑んだ。
「久しぶりですね、夏川君」
相変わらず暖かい声だ。
『夏川君がまた写真を撮りたいと思うまで、お休みしましょう。いつでも、戻ってきてもいいですからね』
去年、写真部に所属しながら写真が撮れなくなったとき、矢崎先生がそんなふうに言ってくれた。
今と変わらない、優しい声と表情で。
「顔を出すのが、遅くなってすみません」
先生の言葉を忘れたわけではない。
それでも、カメラを再び持つようになっておきながら、部室に来なかったことに対して、罪悪感のようなものがあった。