君の世界に触れさせて
僕を誘うには最適の言葉を使った佐伯は、にやりと笑う。
「栄治、やりたいって思っただろ」
こういうときの佐伯は目敏いらしい。
僕がわかりやすくなっているだけかもしれないけど。
それにしても、からかう気しかない顔は気に入らない。
僕は佐伯を一瞥し、歩くスピードを上げる。
「おい、栄治? 置いていくなって」
そう言って、佐伯は部室に戻るまで、僕の隣を歩いた。
矢崎先生と、撮影から戻ってきた部員が数名いた。
僕が入ってきたことに戸惑う視線ばかりだ。
「夏川? どうして?」
香田部長が代表して聞いてくるけど、僕はどう答えるのが正しいのかわからなかった。
「私が呼んだんです。夏川君、心は決まりましたか?」
矢崎先生の表情は、どちらを選択しても構わないと言っているように見える。
でもきっと、僕がどう答えるのか、お見通しなんだろう。
「……やらせてください」
歩きながら導き出した答えは、それだった。
まんまと佐伯の言葉に乗せられたわけだ。
「夏川君なら、そう言ってくれると思ってました」
変わらない笑顔で言う先生を見て、僕は敵わないと思った。
「栄治、やりたいって思っただろ」
こういうときの佐伯は目敏いらしい。
僕がわかりやすくなっているだけかもしれないけど。
それにしても、からかう気しかない顔は気に入らない。
僕は佐伯を一瞥し、歩くスピードを上げる。
「おい、栄治? 置いていくなって」
そう言って、佐伯は部室に戻るまで、僕の隣を歩いた。
矢崎先生と、撮影から戻ってきた部員が数名いた。
僕が入ってきたことに戸惑う視線ばかりだ。
「夏川? どうして?」
香田部長が代表して聞いてくるけど、僕はどう答えるのが正しいのかわからなかった。
「私が呼んだんです。夏川君、心は決まりましたか?」
矢崎先生の表情は、どちらを選択しても構わないと言っているように見える。
でもきっと、僕がどう答えるのか、お見通しなんだろう。
「……やらせてください」
歩きながら導き出した答えは、それだった。
まんまと佐伯の言葉に乗せられたわけだ。
「夏川君なら、そう言ってくれると思ってました」
変わらない笑顔で言う先生を見て、僕は敵わないと思った。