君の世界に触れさせて
一瞬なんの話かと迷い、反応に遅れる。
「……いや、変えてもらってない」
咲楽は眉を八の字にする。
「どうして? やっぱり、ダメって言われた?」
ダメ、とは言われていない。
ただ正論を投げつけられ、私が逃げてきただけ。
だけど、それを知ると咲楽は浅見さんに怒鳴り込みそうで、私は笑って誤魔化す。
「自分で交渉してって言われたんだけど、私、まだ咲楽以外で仲良い人いないし、諦めようと思って。それに、咲楽のおかげで補欠らしいし?」
明るく言ったはずなのに、咲楽はしょんぼりとしている。
「無力でごめん……」
「咲楽は悪くないって」
そう言っても咲楽は落ち込んだままで、私は咲楽の頬を両手で挟み、無理矢理口角を上げる。
すると、咲楽は少しだけ笑ってくれた。
私は安心して、両手を離した。
◇
あれから数週間が経った。
「最高のクラスマッチ日和だ」
教室で体操服に着替えた咲楽は、窓際に立ち、青空を見上げて言った。
私はそんな気分にはなれないけど、つい先日中間試験が終わり、その開放感から咲楽は嬉しそう。
すると咲楽が振り向き、私がつまらなそうにしているのがバレてしまった。
髪型までしっかり決めて、今日を楽しもうとしている咲楽は、頬を膨らませる。
「……いや、変えてもらってない」
咲楽は眉を八の字にする。
「どうして? やっぱり、ダメって言われた?」
ダメ、とは言われていない。
ただ正論を投げつけられ、私が逃げてきただけ。
だけど、それを知ると咲楽は浅見さんに怒鳴り込みそうで、私は笑って誤魔化す。
「自分で交渉してって言われたんだけど、私、まだ咲楽以外で仲良い人いないし、諦めようと思って。それに、咲楽のおかげで補欠らしいし?」
明るく言ったはずなのに、咲楽はしょんぼりとしている。
「無力でごめん……」
「咲楽は悪くないって」
そう言っても咲楽は落ち込んだままで、私は咲楽の頬を両手で挟み、無理矢理口角を上げる。
すると、咲楽は少しだけ笑ってくれた。
私は安心して、両手を離した。
◇
あれから数週間が経った。
「最高のクラスマッチ日和だ」
教室で体操服に着替えた咲楽は、窓際に立ち、青空を見上げて言った。
私はそんな気分にはなれないけど、つい先日中間試験が終わり、その開放感から咲楽は嬉しそう。
すると咲楽が振り向き、私がつまらなそうにしているのがバレてしまった。
髪型までしっかり決めて、今日を楽しもうとしている咲楽は、頬を膨らませる。