君の世界に触れさせて
「……私、バスケはやらないって決めてるので」
ほんの少し、本音をこぼす。
先輩からはなにも返ってこない。
困らせているのだろうけど、上手に誤魔化す自信もなく、私たちの会話は終わる。
全意識を左側に持っていかれそうで、試合に集中ができなかったそのとき、歓声ではなく悲鳴に近い声が上がった。
私のクラスの子、柊木さんが倒れている。
みんなが柊木さんを心配するように集まっているのを見ながら、私は不安に飲み込まれそうになっていた。
「古賀? 顔色悪いけど、どうした?」
夏川先輩のほうを向くと、夏川先輩は心配そうに私を見ている。
「古賀さん、交代できる?」
言葉に困っていると、いつの間にか私のところに来ていた浅見さんが言った。
その奥から、私を待っているような視線を感じる。
咲楽だけが、私を心配する表情を浮かべていた。
「ケガした子がいるのに、続けるの?」
私の迷いを読み取ってくれたのか、夏川先輩が言った。
夏川先輩に話しかけられるとは思っていなかったようで、浅見さんは少し戸惑いながら答える。
「少し捻っただけみたいですし、本人もこの程度で大騒ぎにしたくないって言ってるので」
ほんの少し、本音をこぼす。
先輩からはなにも返ってこない。
困らせているのだろうけど、上手に誤魔化す自信もなく、私たちの会話は終わる。
全意識を左側に持っていかれそうで、試合に集中ができなかったそのとき、歓声ではなく悲鳴に近い声が上がった。
私のクラスの子、柊木さんが倒れている。
みんなが柊木さんを心配するように集まっているのを見ながら、私は不安に飲み込まれそうになっていた。
「古賀? 顔色悪いけど、どうした?」
夏川先輩のほうを向くと、夏川先輩は心配そうに私を見ている。
「古賀さん、交代できる?」
言葉に困っていると、いつの間にか私のところに来ていた浅見さんが言った。
その奥から、私を待っているような視線を感じる。
咲楽だけが、私を心配する表情を浮かべていた。
「ケガした子がいるのに、続けるの?」
私の迷いを読み取ってくれたのか、夏川先輩が言った。
夏川先輩に話しかけられるとは思っていなかったようで、浅見さんは少し戸惑いながら答える。
「少し捻っただけみたいですし、本人もこの程度で大騒ぎにしたくないって言ってるので」