君の世界に触れさせて
3
◆
「依澄!」
声援をかき消すほどの大声で、氷野が古賀を呼ぶ。
その声をきっかけに古賀は動き、シュートをしようとしていたはずなのに、背後にきた氷野にパスをする。
氷野が放ったボールは、見事にゴールに吸い込まれた。
それからすぐに相手ボールとなり、みんな走っている中で、古賀は動かなかった。
そんな古賀の背に、氷野は手を添える。
僕からは二人の背中しか見えない。
なにがあったのか気になって見ていると、古賀は振り向いて、みんなの背を追った。
僕が気にしすぎただけかもしれないと思い、カメラを構える。
だけど、僕は古賀の写真が撮れなかった。
どのシーンの古賀も、苦しそうに見えて仕方なかったから。
それから任された仕事をこなしながら、古賀の様子を見守り続けた。
古賀はボールを受け取り、華麗なドリブルをしながら、最後は絶対にシュートを決めなかった。
絶対、直前に味方にパスを出す。
身のこなし方からして、古賀は経験者だろうに、どうしてシュートをしないのか。
古賀がシュートをすれば、きっと今よりも点が取れているはずなのに。
「依澄!」
声援をかき消すほどの大声で、氷野が古賀を呼ぶ。
その声をきっかけに古賀は動き、シュートをしようとしていたはずなのに、背後にきた氷野にパスをする。
氷野が放ったボールは、見事にゴールに吸い込まれた。
それからすぐに相手ボールとなり、みんな走っている中で、古賀は動かなかった。
そんな古賀の背に、氷野は手を添える。
僕からは二人の背中しか見えない。
なにがあったのか気になって見ていると、古賀は振り向いて、みんなの背を追った。
僕が気にしすぎただけかもしれないと思い、カメラを構える。
だけど、僕は古賀の写真が撮れなかった。
どのシーンの古賀も、苦しそうに見えて仕方なかったから。
それから任された仕事をこなしながら、古賀の様子を見守り続けた。
古賀はボールを受け取り、華麗なドリブルをしながら、最後は絶対にシュートを決めなかった。
絶対、直前に味方にパスを出す。
身のこなし方からして、古賀は経験者だろうに、どうしてシュートをしないのか。
古賀がシュートをすれば、きっと今よりも点が取れているはずなのに。