奴隷の仕返し
「お前の顔は醜いのだから、麻袋をかぶって隠しておきなさい」
奴隷は私の言葉に少し傷ついたような顔をしたが、素直に渡した仮面を手に取った。
***
私が奴隷に出会ったのは、お忍びで城下に出た日だった。
その奴隷商は高級商人で、見目好い奴隷ばかりを扱っていた。
奴隷らは、姿かたちが良いだけではなく、所作も美しい。おそらく、敗戦国の貴族だろう。
ガラスの檻の中で、見世物にされる高貴だった人々。
奴隷には、女性と子どもしかいなかった。男性はことごとく殺されたのだろうということは、幼い私は思いつかなかった。
奴隷らは自分たちの立場を知っているのか、立派な身なりなのにおどおどとしていた。
父と継母と異母弟妹らは、ガラスの檻が空っぽになる勢いで、何体もこの奴隷商から奴隷を買った。
他の上位貴族も次々と奴隷を買い込み、一体だけが残った。
さすが残り物だけあって、見目好いとはいえなかった。髪の毛はところどころ抜け落ちて、頬は痩せこけて黒ずんでいる。乾いた目は灰色に濁っている。
商人が「残った奴隷は始末が面倒なんでさあ。使用人にするにも、元貴族は使いづらくてねえ。殺しちまうのも寝覚めが悪いんで、わざと獣のいる森にでも捨ててきたりしなきゃなんねえんでさあ」と言うのが聞こえた。
どうせ始末するのなら、私が好きなようにいたぶっても同じことだと思い、買うことにした。
奴隷は私の言葉に少し傷ついたような顔をしたが、素直に渡した仮面を手に取った。
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私が奴隷に出会ったのは、お忍びで城下に出た日だった。
その奴隷商は高級商人で、見目好い奴隷ばかりを扱っていた。
奴隷らは、姿かたちが良いだけではなく、所作も美しい。おそらく、敗戦国の貴族だろう。
ガラスの檻の中で、見世物にされる高貴だった人々。
奴隷には、女性と子どもしかいなかった。男性はことごとく殺されたのだろうということは、幼い私は思いつかなかった。
奴隷らは自分たちの立場を知っているのか、立派な身なりなのにおどおどとしていた。
父と継母と異母弟妹らは、ガラスの檻が空っぽになる勢いで、何体もこの奴隷商から奴隷を買った。
他の上位貴族も次々と奴隷を買い込み、一体だけが残った。
さすが残り物だけあって、見目好いとはいえなかった。髪の毛はところどころ抜け落ちて、頬は痩せこけて黒ずんでいる。乾いた目は灰色に濁っている。
商人が「残った奴隷は始末が面倒なんでさあ。使用人にするにも、元貴族は使いづらくてねえ。殺しちまうのも寝覚めが悪いんで、わざと獣のいる森にでも捨ててきたりしなきゃなんねえんでさあ」と言うのが聞こえた。
どうせ始末するのなら、私が好きなようにいたぶっても同じことだと思い、買うことにした。
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