偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる

「ねえ、花穂のカフェの開店はどうする予定？　前に聞いたときは三年後にって話だったけど状況が変わったじゃない？　子供が出来る可能性もあるからね」

「子供って……気が早いよ」

（まだ子供が出来る行為に至ってない訳だし）

「そう？　でもその辺はしっかり考えておいた方がいいんじゃない？」

「うん。子供のことは別としても、私なりに考えてるよ。今の生活スタイルを続けるのは現実的じゃないと思ってる」

　仕事内容は問題ないが、勤務終了時間が午後十時を超えることがネックになっている。

　響一と生活リズムが合わなくて夫婦の時間がとり辛い。それに家事もおざなりになっている。

　以前は響一のプライベートに踏み込まない方がいいだろうと思い食事内容に口出しはしなかったが、今は栄養バランスが取れた食事を食べて欲しいと思う。出来れば夕食を作って彼が帰宅するのを出迎えたい。

「そうだね。私だってもし結婚したらこの勤務形態は無理かなと思ってるからね」

「え……伊那、結婚を考えてるの？」

「いや考えてないけど、花穂を見てたら先の出来事なんて分からないなって」

「ああ、そうだよね」