偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる

(響一さん、今から出かけるなら帰りは遅くなるよね)

 百合香と響一、ふたりが楽しそうに飲んでいる姿をつい想像してしまう。

 ふたりが並んでいたら絵になるだろう。花穂より百合香の方が響一にはお似合いだ。

(やめよう。勝手な想像で不安になったり焼きもちを妬いたりしてたら、響一さんだって困るだけだもの)

 それに彼に心が狭いと思われたくない。

(響一さんが帰宅したら、どこに行ったか聞いてみよう)

 自分は思っていたより嫉妬深い性格のようだけれど、正直に話して貰えたら安心出来そうな気がするから。

ところが帰宅した響一は、花穂の問いかけに予想に反した反応をした。

「仕事でトラブルがあって残業だったんだ。連絡出来なくてごめんな」

 いつもと少しも変わらない優しい声と眼差しで、花穂に嘘を言ったのだ――。
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