偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる

「そう。和解出来たみたいでよかったじゃない。花穂のお父さんにはいろいろと思うところがあるけど、今は反省している感じなんでしょう?」

「うん。この前帰ったときも、頭ごなしに命令してくるようなことはなかったし」

「まあ、それはあたり前なんだけどね……でも実家が問題ないなら何を悩んでたの?」

 伊那は首を傾げてから、思いついたようにはっとした顔をする。

「もしかして夫婦関係?」

 すぐに答えられない花穂を見て伊那は察したようだった。

「どうして? あんなに仲良さそうだったのに」

「仲はいいんだけど……響一さんに嘘をつかれていると気付いてから、どうしてもそのこ
とばかり考えてしまって」

「嘘?」

 驚きの声を上げる伊那に、花穂は頷く。

「女友達と出かけたはずなのに、私には仕事で残業だったって言ったの」

 親友の伊那にも響一とのことは言い辛かった。伊那と響一が完全な他人ならまだよかっ
たが、そうじゃないのにプライベートの話をするのは悪い気がするからだ。

「え、そんなこと?」

 花穂としては思い切って打ち明けたと言うのに、伊那の拍子抜けしたような反応をした。

「そんなことって、これでも真剣に悩んでるんだけど」
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