偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる
「でも女友達と飲みに行ったのをつい誤魔化しちゃうなんて、よくある話じゃないのかな? 余計な心配かけたくないって思ったんじゃない?」

「そうなのかな? でもやましくないなら気を遣うよりも正直に話して欲しかった」
 
 伊那の言うように過剰な反応をしているのかもしれない。

 しかし、初対面のときの百合香の態度と、彼女について報告したときの響一の態度が、なぜだか気になって仕方ないのだ。

 勘のようなものだが、ふたりには何かありそうな気がする。

「浮かない顔だね。そんなに気になるなら響一さんに直接聞いてみればいいじゃない。本当は仕事じゃなかったって知ってるよって」

「今更聞けないよ」

 花穂だってはっきり聞きたい気持ちがあるし、あのときその場で聞けばよかったと後悔している。

 でも咄嗟に言葉が出て来なかったのだ。

 嘘をつかれたのがショックだったし、秘密にする程の何かが有ったのだとしたら、事実を聞くのが怖かった。

 意気地がなくて追及出来ず、未だに引きずっているのが情けない。
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