偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる
 百八十センチは余裕でありそうな長身で、腰の位置が高く手足がすらりと長い日本人離
れしたスタイル。

 形のよい小さな顔には、きりりとした印象の眉と少し目じりが上がった二重の目。すっと通った鼻梁に形のよい薄めの唇と極上のパーツがバランスよく収まっており、惚れ惚れする程の美男なのだ。特に目を伏せたときの物憂げな表情がなんとも色っぽく目が離せなくなる。

 響一がいると女性客がそわそわと落ち着かなくなるのが分る。中には声をかける積極的な人もいた。彼はやんわり断っていたけれど、少し困っている様子だった。

 会社では御曹司という特別な立場にあり、外に出ても注目の的では心が落ち着くときがなさそうだ。もし自分がその立場なら、ひとり静かに過ごしたいと思うだろう。

 だから花穂は響一が来店すると、すぐに奥の席に案内するようにして、必要最低限の会話で済ますなど気を遣っていた。

 するとそんな花穂の態度が気楽だったのか、響一の方から話しかけて来るようになった。
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