偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる
見合いの席だから当然なのだろうが、彼から花穂と言われるとドクンと鼓動が一際高く打つのだ。
しかも、なぜだか早くも話が結婚に向けて進んでいる。
(これじゃあお見合いじゃなくて、結婚を決めた後の打合せみたい)
響一は本当に花穂と結婚するつもりなのだろうか。それとも父の手前話を合わせているだけなのか。
彼の考えが読み取れず混乱する花穂に、響一が優しく微笑みかけた。
「この料亭は庭園の美しさが評判だそうですね。せっかくですからふたりで歩いてみませんか?」
「それはいい。花穂、響一さんと行ってきなさい」
普段よりも格段に愛想のよい父が、花穂の背を押す。響一が立ち上がり、エスコートするように手を差し出した。
「行きましょう」
「……はい」
花穂が彼の手を取ると、力強く引き上げられた。
中庭に出るとまず正面の大きな池が視界に入る。その周辺を紅葉が煌(きら)びやかに彩っている。絢爛豪華という言葉が似あう素晴らしい庭園だ。
しかし花穂には美しい風景を楽しむ心の余裕などなく、一歩前を歩く響一を戸惑いながら見つめていた。
しかも、なぜだか早くも話が結婚に向けて進んでいる。
(これじゃあお見合いじゃなくて、結婚を決めた後の打合せみたい)
響一は本当に花穂と結婚するつもりなのだろうか。それとも父の手前話を合わせているだけなのか。
彼の考えが読み取れず混乱する花穂に、響一が優しく微笑みかけた。
「この料亭は庭園の美しさが評判だそうですね。せっかくですからふたりで歩いてみませんか?」
「それはいい。花穂、響一さんと行ってきなさい」
普段よりも格段に愛想のよい父が、花穂の背を押す。響一が立ち上がり、エスコートするように手を差し出した。
「行きましょう」
「……はい」
花穂が彼の手を取ると、力強く引き上げられた。
中庭に出るとまず正面の大きな池が視界に入る。その周辺を紅葉が煌(きら)びやかに彩っている。絢爛豪華という言葉が似あう素晴らしい庭園だ。
しかし花穂には美しい風景を楽しむ心の余裕などなく、一歩前を歩く響一を戸惑いながら見つめていた。